
生前、家族といろいろなことがあったと思います。自分が先になくなるとなった場合、
亡くなったあとに自分のことを良く思われたいですか ?
それとも恨まれたいですか ?
残された家族が「心のどこかで故人を恨む」その理由
長年連れ添った配偶者が亡くなった後、残された家族が直面する最も厄介な作業の一つが、「デジタル遺品の整理」です。
それって何?
故人が何を契約していたか、どのサービスに登録していたか、全く手がかりがない。毎月、あるいは年一回、静かに銀行口座から引き落とされていくお金。解約したくても、IDもパスワードもわからない。
「どうして生前に一言も教えてくれなかったんだろう…」
最愛の人を失った悲しみの中、このような無力感や苛立ちから、心のどこかで故人を恨んでしまうという話は少なくありません。
昔のように、大事な記録がすべてノートや手帳にまとまっている時代は終わりました。いちいちノートにメモしない時代だからこそ、デジタル終活は「残された家族への愛」として、今すぐ取り組むべきテーマ思います。
でも、自分でもかなり面倒な作業のような気がします。
この記事では、デジタル終活で考えられる具体的な問題と、ご本人にとって負担が少なく、すぐにとっかかれる現実的な対策をご紹介します。
1. デジタル遺品が家族にもたらす3つの問題
デジタル終活が必要な理由は、単に「お金がもったいない」からではありません。家族の精神的な負担と、法的な手続きの煩雑さにあります。
問題1:引き落としは続く!把握できないサブスクリプション
現代人は、動画、音楽、ニュース、クラウドストレージなど、複数のサブスクリプションサービス(定額制サービス)を利用しています。
(💡現実的なデータ) ある調査によると、日本人(成人)が契約している有料サブスクリプションの平均数は約4〜5件と言われています。また、自分が何のサブスクに登録しているかを正確に把握できていない人も少なくありません。
これが故人となると、家族は以下のサービスを探し、解約しなければなりません。
- 動画・音楽配信(Netflix、Spotifyなど)
- ネットニュース・電子書籍(新聞社の電子版、Kindle Unlimitedなど)
- クラウド・ソフト(iCloud、Microsoft 365など)
- オンラインゲーム、アプリ課金
これらの情報が一切なければ、契約解除ができないまま引き落としが何年も続く可能性があります。
問題2:口座が凍結しても残る「デジタル貯金」
銀行口座は、名義人が亡くなると相続手続きのために一時的に凍結されます。しかし、銀行以外にも故人がデジタル資産を持っている場合があります。
- ポイントや電子マネー(Amazonギフト券残高、共通ポイントなど)
- 証券口座内の金融資産(ネット証券)
- ネットバンクや利用していない休眠口座
特に、使わなくなったネットバンクの口座や、地方銀行の口座などは、家族も存在すら知りません。
(💡現実的なデータ) 金融庁の発表によると、2019年以降、年間約1200億円が休眠預金等として管理されています。故人の小規模な「忘れられた口座」が積み重なり、家族がその存在を知らなければ、資産の引き継ぎができません。
問題3:パスワードの壁
故人が何かのサービスを解約しようとしても、ほとんどのサービスはセキュリティ上の理由で家族からの申し出では解約できません。ご自分でパスワードを設定したものであっても「えーと、パスワードは何だっけ ?」ありがちですよね。
「IDとパスワードを入力してログインし、解約手続きを行ってください」
この壁を突破できないことが、家族の苦労の最大の原因です。
2. 【とっかかりやすい3ステップ】生前のデジタル終活対策
デジタル終活は、全てを完璧にする必要はありません。まずは「家族が困らない最低限の仕組み」を作ることが重要です。面倒な手続きを後回しにしないために、以下の3ステップから始めてみましょう。
ステップ1:まずは現状把握から!「引き落とし履歴」の棚卸し
「何を契約しているか」をゼロから思い出すのは大変です。そこで、最も確実で簡単な「入り口」から始めます。
- メインバンクの通帳・ネット履歴を確認:
- 過去1年間の引き落とし履歴をチェックします。
- 「〇〇ペイ」「〇〇カード」「〇〇通信」など、毎月(または毎年)定額で引き落とされているものをリストアップします。
- クレジットカードの利用明細を確認:
- 銀行口座では分からない、クレジットカード経由のサブスク支払いを見つけます。
- 使っていない口座やカードを解約:
- リストアップした中で、「もう全く使っていない」銀行口座やクレジットカードは、情報が散逸する前にこの時点で解約してしまいましょう。これが、最もご本人の負担が少ない「整理」です。
ステップ2:アカウント情報を一元管理する
現状把握ができたら、その情報を「どこに」「どのような形で」残すかを決めます。
紙のノートに細かく書き出すのは手間がかかり、パスワードが変わるたびに書き直すのは面倒です。
✅ おすすめの管理方法:パスワード管理ツールを活用する
- パスワード管理アプリ(例:1Password、LastPassなど)を利用し、ログイン情報を一括管理する。
- このアプリのマスターパスワードだけを記録に残し、家族に伝える。
- 多くのアプリには「緊急アクセス機能」があり、設定しておけば家族に安全に情報を引き継げます。
✅ シンプルな代替案:オフラインExcelシート・PDF
- ログイン情報(IDとパスワード)は記載せず、「サービス名」「URL」「登録メールアドレス」「最終更新日」だけを一覧にしたExcelファイルを作成し、PDF化します。
- このPDFファイルは、パスワード管理アプリのマスターパスワードとともに、後述の「エンディングノート」に記載します。
ステップ3:「最終アクセス場所」を家族に教える
デジタル情報の整理が終わったら、最後に「どこを見ればいいか」を家族に伝えます。この最終アクセス場所さえあれば、家族は迷子になりません。
✅ 究極の引継ぎツール:エンディングノートの活用
紙のエンディングノートの見開き一ページだけをデジタル終活に充てましょう。
- 最重要情報(絶対必要!)
- メインのパスワード管理アプリのマスターパスワード
- メインのパソコンの起動パスワード
- メインで利用しているスマホのロック解除番号
- 金融関連
- メインバンク以外のすべての銀行・証券口座名(支店名、口座番号は不要。口座名義だけでOK)
- 利用中のクレジットカード会社名
- デジタル資産
- デジタル遺品をまとめたPDFやExcelが保存されている場所(例:「デスクトップの【終活フォルダ】の中にある」)
まとめ:デジタル終活は「愛の証」
デジタル終活は、決して「死の準備」ではありません。それは、あなたの人生の棚卸しであり、「自分は今、何に価値を払っているのか」を知るための作業です。
そして何より、残された家族に「手間と負担」を残さないための、究極の「愛の証」です。
まずは「使っていない口座やカードを解約する」という小さな整理から始め、「マスターパスワード」というたった一つの情報を家族に引き継ぐ準備をしましょう。その小さな一歩が、ご自身の老後と、ご家族の未来に大きな安心をもたらします。


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