
終わりが見えない「定年後の夏休み」
「夫が定年退職して一日中家にいる」
この状況は、子どもの夏休みが始まる時のお母さんの心境とよく似ています。子どもが家にいる1ヶ月間、食事の準備や片付け、子どもの世話で母親の家事負担は急増し、解放される日が待ち遠しくなります。
しかし、夫の定年退職は「終わりが見えない夏休み」なのです。
長年、会社という別の世界で生きてきた夫が、突然、妻が守ってきた生活空間(テリトリー)に一日中居座るようになる。妻の長年の生活リズムは崩れ、イライラが募り、つい夫に辛く当たってしまう…これは、妻の愛情が冷めたわけではなく、生活環境の急激な変化による健全なストレス反応です。
この記事では、奥様が抱えるストレスの正体と、夫婦が共に実践できる「魔法のルール」をご紹介します。
1. 夫が気づかない!妻のストレスを倍増させる3つの要因
多くの夫は「家にいるだけなのに、なぜ妻はイライラするのだろう」と不思議に思っています。しかし、夫が家にいるだけで、妻の負担は目に見えない形で増大しているのです。
要因1:失われた「自分の時間」と「静かなテリトリー」
長年、妻にとって「夫がいない時間帯」は、家事の効率を上げたり、趣味に没頭したり、単に一人でぼーっとしたりできる大切な「テリトリー」でした。
夫が一日中在宅することで、この時間が根こそぎ失われます。
- 「そろそろお昼ご飯?」
- 「コーヒー入れてくれる?」
- 「〇〇はどこだ?」
妻は、夫の存在そのものによって、常に「誰かの視線の下にいる」と感じ、解放感やリラックスする機会を奪われます。
要因2:増加する「見えない家事」
妻がイライラするのは、家事そのものが増えるからです。
定年後の夫は「俺も手伝うよ」と言ってくれるかもしれません。しかし、妻が本当に嫌なのは、夫が家事を始める前に発生する「名もなき家事」です。
| 増加する見えない家事 | 具体的な例 |
|---|---|
| 食事関連 | 夫の在宅で朝・昼・晩3食準備が必要になる。献立を考える手間が増える。 |
| 掃除・洗濯 | 夫が使った食器や脱ぎっぱなしの服を片付ける、夫の持ち物を除けて掃除する。 |
| 気配り | 夫の生活音に配慮する、テレビのチャンネルや室温を夫に合わせる。 |
| 指示出し | 夫が手伝おうとしても、妻が「あれはここ」「これはこうして」と指示する手間(マネジメント)が発生する。 |
夫が家の外にいれば、そもそもこれらの負担は発生しません。
要因3:「仕事の延長」のような夫の態度
定年を迎えても、夫は長年の仕事の習慣が抜けず、つい妻に「指示待ち」の態度をとったり、自分のやり方(=会社のやり方)を家庭に持ち込んだりしがちです。
妻は長年、家庭という職場の「管理者」として独自のルールと効率で動いてきました。そこに「新人」として入ってきた夫に、一から教え、手直しし、指導する立場になることは、妻にとって大きな負担です。
2. 夫の定年後「妻のストレス」を半減させる魔法のルール
妻のストレスを半減させるために、夫がまず実践すべき「魔法のルール」は、「家に居ても、家の中で邪魔をしない存在になること」です。
魔法のルール1:午前中は「家の外」に出る
物理的に距離を取ることが、最も即効性のあるストレス解消法です。
【実行方法】
- 「3時間ルール」の徹底: 午前中の最低3時間は、必ず家の外で過ごすルーティンを作ってください。
- 行き先はどこでもOK: 図書館、ジム、カフェ、公園での散歩、地域のボランティア、習い事など、目的は何でも構いません。
- 妻に事前申告: 「9時から12時までは出かけるから」と伝えておけば、妻はその間を「自分の時間」として確保でき、心置きなく家事に集中したり、リラックスしたりできます。
魔法のルール2:自分の居場所と役割を「自力」で見つける
夫が「妻のそばにいること」を居場所にするのは間違いです。妻のテリトリーとは別の場所に、自分の「独立した役割と空間」を作りましょう。
【実行方法】
- 「夫の持ち場」を明確化: 家事の中でも、妻のやり方に文句を言われず、夫が責任を持って担当する分野を決めます。(例:ゴミ出しと分別、浴室掃除、庭の手入れ、パソコン周りの管理など)
- 「専属の場所」を作る: 自分の書斎、趣味の部屋、またはリビングの一角を「自分のゾーン」とし、そこで過ごす時間を増やします。
魔法のルール3:「家事は仕事」として妻に感謝を伝える
妻の家事労働は、無償で提供されている「サービス」ではありません。長年続けてきた「仕事」であり、夫が家にいることでその負担は増えているのです。
【実行方法】
- 具体的に感謝を伝える: 「ありがとう」だけでなく、「この前作ってくれた味噌汁、具材の切り方が揃っていて食べやすかったよ」「いつも部屋が綺麗で気持ちがいい」など、具体的に評価して伝えます。
- 「感謝のお金」を渡す: 定期的に、妻の裁量で自由に使えるお金(例えば月1万円の「お小遣い」ではなく「家事手当」として)を渡すことを提案するのも有効です。これは、妻の労働を正当に評価し、妻の精神的な余裕を生み出す手段となります。
3. 夫婦で話し合う「ストレス半減の秘訣」
夫婦関係を険悪にしないためには、感情的になる前に「ルール」を共有することが大切です。
秘訣1:お互いの「時間割」を作る
まず、「一緒に過ごす時間(We Time)」と「一人で過ごす時間(My Time)」を紙に書き出し、すり合わせます。
| 時間帯 | 夫のMy Time | 妻のMy Time | We Time (二人で) |
|---|---|---|---|
| 9:00~12:00 | 外出(図書館) | 集中家事・自由時間 | ー |
| 12:00~13:00 | 昼食(自分で用意) | 昼食(妻は軽食) | ー |
| 18:00~20:00 | ー | ー | 夕食・晩酌 |
特に妻の「My Time」は、夫が要求や話しかけをせず、妻が完全に自由になれる時間として尊重し合うことが重要です。
秘訣2:話しかけの「許可制」を導入する
些細なことでも話しかけられることが、妻の集中力とストレスを奪います。夫婦円満のために、あえて機械的なルールを導入しましょう。
「話しかけ許可サイン」を決める
- 妻が集中しているとき(読書中、スマホ操作中など)は、話しかける前に「今、ちょっといい?」と許可を取る。
- 急を要さない話題は、夕食後の「We Time」にまとめて話す習慣をつける。
ということで、ようするに
夫側からしてみれば『意外』ですよね。今まで家族のために働いてきて定年して家にいることがどうしてストレスになるんだ? でもそれは、夫の一方的な解釈です。
妻には妻のペースが出来ていることを理解しましょう。そして妻のペースを乱すことになるということも理解しましょう。夫はとかく、自分のタイミングで妻にモノを頼みます。それは往々にして自分でもできることばかりです。仕事に行っている時期に帰ってきてからや休みの日だから、特別に妻が言うことを聞いてくれたのです。平日の昼間にまで、夫のワガママはなかったのです。
妻からしてみれば、突然今までと違う時間帯に、というかフルタイムで好き勝手に話しかけられたり用事を言いつけられたりしてはたまりません。夫だって何かしらやっているときに、お話好きな妻からやたらと話しかけられることが毎日続いたらイライラもするでしょう。おなじことですよね。
定年後の生活は、夫婦にとって新たなスタートラインです。これらのルールを実践することで、お互いを尊重し合い、長年の夫婦関係をさらに深めることができるでしょう。


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